シイタケの島

ある日、なんにもない島で。
〜 Chapter1 〜
そんなある日のこと。

なんにもない島に、思いがけない訪問者が現れたのです。
それは、遠い海で嵐に巻き込まれた遭難船から、命からがら流され、
漂着した船人でした。
誰も知らないその島に、いきものたち以外の生物がはじめて降り立ったのです。

生まれてはじめて見る、その不思議な二本足で歩く生き物を、
シイタケたちは遠巻きに眺めます。
波にさらわれ、もてあそばれてぼろぼろになった体を浜辺に横たえるひとりの男。

「ここはどこなんだろう。他に人はいるのだろうか」

男は立ち上がり、ふらふらと歩きながらおーい、おーいと大声で叫びはじめました。

しかしそれにこたえる声はありません。
色濃く絶望をにじませながら、しかし男はふたたび立ち上がり、
またフラフラと歩き続けるのでした。

そして、やがて歩き疲れたころ、くたびれてうなだれた男は、
足元をひょこひょこ動き回る奇妙ないきものたちに気がつきました。

「おや、これはなんだ?」

ただぼんやりと自分をみつめるその姿に、男は思わずほほえみかけました。

「やあ、君たち。しばらく世話になるよ、よろしくな」

シイタケたちは、なにを語るでもなく、ただ男を見つめるばかりでした


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