シイタケの島

ある日、なんにもない島で。
〜 Chapter4 〜
つかずはなれずの距離をおいて、
ひとりと一匹の生活は続きました。

ある日、男は悪戦苦闘して大きな魚を釣り上げました。
「うれしいじゃないか!これでしばらく食べ物に困らずにすむ!」

ある日、男は水平線に沈む夕陽を眺めながら涙します。
「なんてうつくしい・・・。この夕陽をおれの家族も見ているだろうか」

そしてまた別のある日、いきものたちを肩に乗せ、
薪に使う小枝を拾い集めながら、男はしんみりしました。
「俺はさみしくなんかないさ。キミがいてくれるからね」

さらに別のある日。
男が口ずさんだ懐かしい歌にあわせ、シイタケはわけもわからず
フワフワとカラダを揺するのでした。
とても踊りとは呼べないその様子を見ていた男は、
吹き出して、ひさしぶりに大きな声で笑いました。
「きみたちって、なんだか無性におかしいね。」

そして眠りにつくとき、シイタケに言うのでした。
「ありがとう、おかげで今日はたのしかったよ。」

でも、どんなときでもシイタケは男をだまってみつめるばかり。

シイタケには、男が目を細め自分を見つめる意味も、
「わははは」と声をあげカラダをゆする理由も、
目から流れる液体の正体も、
夕日を見つめ膝を抱えているワケも、
ちっともわからないのでした。
ただいえることは、男を見ていれば見ているほど、
シイタケの中になんだか正体の分からない「むずむず」が
いっぱいいっぱい広がっていくのでした。


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