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星がまたたき、なんにもない島にいっそうの静寂が訪れる時間。
ひっそりと目を閉じ、かすかに微笑みを浮かべたまま、男は永遠の眠りにつきました。
「?」
いつもと違う様子に、シイタケの中の「むずむず」が、すこし動き始めます。
男の肩に乗りぴょんぴょん飛び跳ねてみました。
男は目を閉じたままです。
髪の毛をつんつん引っ張ってみます。
いつもなら払いのけようとする手は、今日はやってきません。
男のわきの下や首筋のあたりで体をゆすってみるものも。
いつもならくすぐったがって笑いだすのに、男はぴくりともしません。
そして朝が来るころ…。
シイタケは知ったのです。男がもう、ここにはいないということを。
その瞬間、また「むずむず」がやってきました。
あらたにわき上がった「むずむず」は、これまでとは違った「むずむず」でした。
わき上がるやいなや、シイタケの中で重さとカタチと温度をもちました。
「カナシイ」
「サミシイ」
「クルシイ」
そしてさらに、
いままでに感じたさまざまな「むずむず」も、あふれるようによみがえってきました。
かつて男がシイタケに見せた、表情、しぐさ、コトバ・・・、
そのすべての意味が、今のシイタケにはわかります。
うれしい、たのしい、おいしい、うつくしい、おそろしい、なつかしい・・・・・
「むずむず」たちは、次々とふくらみ、はじけ、飛び散り、
シイタケの内側でうねり狂う大きな渦となって、あふれかえっていきました。
そしてそのとき、シイタケは悟ったのです。
「こんな厄介なものを、じぶんひとりでかかえることなんかできやしない」
次の瞬間、彼らは目を閉じると、パチンとはじけて消えました。
幾百、幾千、幾万という感情の胞子たちをまき散らして…。
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