シイタケの島

ある日、なんにもない島で。
〜 エピローグ 〜
長い長い年月が流れました。

それは、広い広い海のどこかにある島のおはなし。
名前もない、地図にもない、渡り鳥さえ知らないちいさな島のできごとです。

この島は、かつて、なんにもない島でした。
シイタケのようなすがたをした、からっぽのいきものたち以外には。

しかし、それも遠い昔のこと。

あのシイタケがまき散らした感情の胞子たちは、
やがてたくさんの新しい命となって生まれ変わったのです。

「たのしい」胞子が芽を出した、タノシイタケ。
「さみしい」胞子が芽を出した、サミシイタケ。
「はずかしい」胞子が芽を出した、ハズカシイタケ。
「おかしい」胞子が芽を出した、オカシイタケ。
「おいしい」胞子が芽を出した、オイシイタケ。

他にも数かぎりないシイタケたちが、島中で今日も動き回っています。
おもいのままに、気の向くままに・・・。

そう、それは広い広い海のどこかにある島のおはなし。

でも、ちょっと待ってください。

シイタケがまき散らしたココロの胞子は、
風に乗り、空に舞い、海を渡り、
ひょっとしたら私たちの住んでいる世界にもやってきているかもしれません。

だってほら、あなたの横で笑っている、その人の、
ココロにタノシイタケ、生えていませんか?


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